水質改善例
       |→ホームへ
       |→戻る


レイクリフターによる水質浄化例2、(水深10m以下)

「土生山貯水池」(志免町)

貯水量 12,400    水深5m

1. はじめに
 本件は、志免町土生山貯水池の水質浄化及び富栄養化対策として設置した間欠式空気揚水筒(レイクリフター)の効果を確認するために、設置前の6月20日と設置後の7月21日に採水分析した結果をまとめたものです。
採水地点は、2ヵ所で行いました。
採水地点を下の土生山貯水池平面図に示します。
2. 水温及び溶存酸素
 水温の調査結果を表-1表−2に示します。設置前は表層と底層の温度差はありませんが、溶存酸素を見ると、表層では飽和状態になっていますが、下層では2mg/l 以下の酸欠状態になり、採水のときもかなり強い硫化水素臭が感じられました。pHは、表層で9.0と高く藻類が盛んに繁殖していることを示しています。
 設置後は、上下層の水温差が無くなり完全な循環状態になっています。溶存酸素も下層まで飽和状態になり、pHも全体に弱アルカリ性になり安定しています。
3. 水質
 水質の調査結果を表ー3に示します。設置前、設置後はA,B両地点で水温、溶存酸素を測定し水質分析はA地点のみ行いました。
 設置前は、窒素及びリンの値が高く、特に底層のアンモニア態窒素は0.13mg/l、リン酸態リンは0.05mg/l となっていて、底層の酸欠により還元溶出し、貯水池の富栄養化の原因になっています。設置後は、窒素、リンの値が下がりました。
 鉄は、設置前は、底層の酸欠により還元溶出し、0.3mg/l 検出されましたが、設置後は0.01mg/l に低下し酸化が促進されていることがわかります。
 濁度及び色度も底層の水質が改善されたのに伴い、濁度10度が1度に、色度5度が2度に低下しています。



水温・溶存酸素  A地点

表-1

水深(m)
平成2年6月20日
平成2年7月21日
水温 ℃
DOmg/
pH
水温℃
DOmg/
pH
表 層
22.6
7.1
9.0
26.4
10.0
8.2
22.5
3.5
 
26.3
9.4
 
22.4
2.4
 
26.3
9.3
 
22.3
2.1
 
26.2
9.3
 
22.3
1.8
8.0
26.2
9.1
7.4




水温・溶存酸素   B地点

表-2

水深(m)
平成2年6月20日
平成2年7月21日
水温℃
DOmg/
pH
水温℃
DOmg/
pH
表 層
22.6
2.55
8.5
26.8
10.2
8.0
1
21.9
2.15
 
26.4
9.4
 
2
21.9
2.08
 
26.3
9.1
 
3
21.8
2.08
8.0
26.3
9.1
7.8





水質調査結果  A地点

表−3
単位(mg/l)

項   目
平成2年6月20日
平成2年7月21日
上層0.5m
底層4.0m
上層0.5m
下層4.0m
アンモニア態窒素
0.08
0.13
0.02
0.02
亜硝酸態窒素
0.03
0.03
0.02
0.02
硝酸態窒素
0.18
0.18
0.12
0.12
リン酸態リン
0.05
0.05
0.02
0.023
0.2
0.3
0.03
0.01
マンガン
ND
ND
ND
ND
濁度(度)
2
10
1
1
色度(度)

ND:検出しない